「そんな…」


あんこさん、私のこと…過大評価し過ぎだよ。


「今はまだ怖いと思う。またフラレたらどうしようとか、1歩踏み出す勇気を出すのも難しいかも知れない。わかるよ、わかるけどね…でも、素直にならないと後で後悔することになるから。だから、今は頑張ってほしい。私は何があっても雫ちゃんの味方だから」


あんこさん…


嬉しい…


私のこと、本当にちゃんと大切に思ってアドバイスしてくれてるのが痛いほどわかる。


「ありがとうございます。あんこさんが言ってくれたみたいに、まだ自信はないですけど、焦らずゆっくり…1歩踏み出してみます。少しでも素直になれるように…」


「そう、その意気! ゆっくりでいいから。素直にならないと損するよ~」


可愛く、あんこさんが笑った。


「損したことあるんですか?」


「あるある。私はこの通り、かなりの意地っ張りだからね。パン屋を経営することに必死になってたし。だから、気がついたらパンが恋人になっちゃった」