あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

えっ…


現実離れしたあまりにもカッコいい登場に、心臓が止まりそうなくらいドキッとした。


モデル? 俳優?


ううん、それ以上に素敵過ぎて、これは明らかに反則だと思った。


何に対しての反則なのかよくわからないけど、とにかくこんなにもドキドキしてる自分が不思議で仕方なかった。


「あっ、あの、お久しぶりです。ご注文いただいたパンの配達に来ました」


私は、ボックスに入ったパンを差し出した。


ガチガチでロボットみたいな私の仕草に、前田さんがクスッと笑った。


「ありがとう。久しぶりに『杏』のパンが食べられる。前田君、頼む」


「はい、かしこまりました」


前田さんは、パンを持って部屋を出た。


「朝から何も食べる時間がなくて、お腹が空いてる。さあ、座って」


そう言って、スーツの上着をかけてから、榊社長はソファにゆっくりと座った。