「そうだな。孫の顔が見れる日がくるなんて、会社を守るために必死になってた時は考えられなかった」


「祐誠さん、私…あなたが会社や私達のために頑張ってた姿、頭から離れないよ」


「ちょっと…必死になり過ぎてたかも知れないな。今はこんなにも人生が変わって、俺は1人の人間として、ただただ最高に幸せだ。君がそれをくれた。だから…俺も雫にたくさん愛を返したい」


「祐誠さん…もったいないくらいの言葉だよ。だけど…すごく嬉しい」


俺は、雫を抱きしめた。


雄大な山の連なり、そこに夕陽が落ちていく。


湖に映る山々が、風が吹く度なびいて…


そんな美しい光景を2人で見られて、俺は、言葉にならないくらいの幸福感を味わっていた。


「ねえ、祐誠さん。私達が出会った頃のみんな…それぞれ道は違うけど、自分が選んだ人生を立派に進んでるよね」


「ああ、そうだな。懐かしい…」


「何だかあっという間だったね。ここまで…」