子どもの頃にお世話になった第2の母みたいな存在の女将さんは…


残念ながら亡くなられた。


でも、孫の彼女が立派に女将を継いでいる。


この老舗の素晴らしい旅館は、絶対になくしてはならないし、ずっと残してもらいたいと心から思ってる。


「今日は君と来れて良かった。なかなか2人の時間を作れてなかったからな。正孝も、全て任せられるかと言えばまだまだだけど、それでもしっかり頑張ってる。前田君もついてくれてるし、これからは…少しずつ雫と過ごす時間を作りたい」


「嬉しい。でも、無理しないで。今まで十分幸せにしてもらったから。こんな私をここまで大事にしてくれて…本当に感謝してる。正孝も真美さんも誠もいて、私はすごく幸せよ」


雫は、いつだってこんなにも魅力的に微笑む。


忙しさに流され、この可愛い笑顔を見過ごしてしまうのはもったいない。


これから先の人生は、雫との一瞬、一瞬を大事にしたい。