「いい気持ち~本当に最高のお湯だね」


「ああ、本当に…何度来てもいいな」


俺が子どもの頃からお世話になってる温泉宿。


雫にプロポーズした思い出の場所。


ゆっくりお湯に浸かった後は、夕食までベランダのソファに座りくつろいだ。


雫と2人きりの今を実感し、素晴らしい景色を見ながら贅沢に過ごせてるこの時間に感謝した。


「前田さんのご家族もたまに来てるんでしょ?」


「ああ。ここのお湯と料理、雰囲気が気に入って、結婚記念日には毎年ご家族で来てるそうだ。彼は、結構ハマるタイプみたいだな。あんこさんのパンもそうだった。よく『杏』に通っていたな」


前田君は、今も正孝の第1秘書として頑張ってくれてる。


社内一信用できる人物だ。


正孝を支え、会社のために身をこにして働いてくれてる。


「女将さんも素敵だし、本当に素晴らしい旅館だもんね。私もここが大好き」