「生徒さん?」


「うん。僕、人気あるみたいだから」


満面の笑みで雫さんに言った。


雫さんも笑った。


可愛すぎるよ、その笑顔。


「希良先生、これからも頑張ってね。体に気をつけて。ずっと…幸せでいて」


「うん、ありがとう、雫さんもね。あの人と正孝君がいるから、雫さんは大丈夫。今日は会えて嬉しかった」


「ありがとう、希良君」


そう言って、雫さんはうなづいた。


「じゃあね! いつかまた、こんな風に会えるのを楽しみにしてる! それまで…バイバイ」


懐かしいセリフ『バイバイ』なんて、しばらく口に出してなかったのに。


雫さんとの思い出。


あのキラキラした時間。


カラフルに彩られた僕の頭の中の景色が、また鮮やかに蘇った。


笑顔の2人…


手を繋いではしゃぐ姿が、まるで映画のワンシーンみたいにスローモーションで流れる。


あまりに素敵な1日。


たった1回のデートだったけど、鮮明に僕の心に残ってる。


一生忘れられない。