『今、ようやくわかりました。あなたは、うちが1番大変な時に手を差し伸べてくれた榊グループの御曹司だったんですね。まさか、真美の友人がそうだったなんて…その時は思いもせず。気づかなかったこと、本当に許して下さい』


父は土下座した。


そんな父の体に優しく触れ、正孝君は『土下座なんて必要ありません、さあ、立ち上がって下さい』と言ってくれた。


『私が言わなかっただけです。あの時、私の父は、そんなに素晴らしい製品ならすぐに仕事をお願いしたいと言いました。ずっとお父さんが頑張って信頼を勝ち取ってこられたことが、仕事に繋がったんです。これからもずっと…良いものを作り続けて下さい。そのための支援なら何も惜しみません』


正孝君の誠実過ぎるその言葉に、


『ありがとう…ございます…』


父は…泣いた。


男泣きするその姿を、私は初めて見た。


『真美を…娘をどうかよろしくお願い致します』


正孝君なら何の心配もない、安心だって…


両親は、私達の結婚を心の底から喜んでくれた。