かっこよ過ぎる正孝君の横に並んでも見劣りしないようにしたいけど、でも、どうしたって彼があまりに輝いてるから…私なんてかすんでしまうんだけどね。


それでも『可愛い』って言ってくれるから…


いつもニコニコ明るく笑っていたい、笑顔で生きていたいって…思うんだ。


学生時代からずっと自分に自信がなくて、いつもマイナス思考だった私。


そんな私を変えてくれたのが、正孝君だった。


あれは…大学3年の春。


心がウキウキと弾むような季節だというに、私の気持ちは沈んでいた。


『澤村さん。今日のお洋服はどちらのブランドなのかしら? あら失礼、お父様の会社、大変なんだったわね~それじゃあブランドのお洋服なんて買えないわよね』


毎日のようにイヤミを言ってくるのは、吉木工業というちょっと名の知れた建設会社の社長の娘、吉木 玲子(よしき れいこ)。


私の父は、そこの下請け会社の社長だった。