「そんなこと…またいつか来てくれればいいよ」


「そうしたいけど、ちょっと会うのは無理かな。会えばまた…その先を期待してしまう。本当にいつまでも俺はダメだな」


慧君は、それ以上、そのことに関して言葉を続けるのを止めた。


「俺は北海道で引き続き頑張ってく。体に気をつけて元気でいて。パン屋もあんまり無理しないように。雫ちゃんは頑張り過ぎるから。とにかく、小麦粉はこれからもずっと送るから」


「うん、わかった…ありがとうね。これからもよろしくね。慧君も…いつまでも元気でね」


私もそれ以上は何も言わなかった。


みんなと過ごす楽しい夜は、あっという間に更けていき、次の日、3人は早々と北海道に帰ってしまった。


短い滞在だったけど、来てもらえて良かったと思う。


会うのは最後だとしても…


慧君とはずっと友達。


それに、あんこさんとはこれから先も大切な恩人として付き合っていくつもりだ。