「そんな…」


「1人でいる方が落ち着くし…それに、今誰かと付き合ったとしても、仕事と勉強とで結構ハードだから、ゆっくりデートもできないだろうしね。ほんの少しでも時間が空いたら寝ていたいし」


確かにそうかもしれないけど…


「でも、一生1人なのは…寂しくないの?」


「俺…1人じゃないから。1人だなんて思ったことないよ。いつも側に父さんとあんこさん、親戚のみんながいてくれるし。結構毎日にぎやかだよ」


「…それは心強いと思うけど…」


「何度も言うけど、俺には雫ちゃんがいるから。たまにだけど、声は聞ける。遠くにいても…それでも繋がってると思える。だから、俺はこのままで十分幸せだよ。嘘やごまかしじゃないし、もちろん負け惜しみでもないから。本当にそう思ってるから安心して」


慧君はその言葉を一言一句丁寧に、そして、静かに言った。


それが、私の心に優しく突き刺さった。