「俺は、向こうで成長して、仕事もできて、人に信頼されるような人間になりたいと思ってる。いつになるかわからないけど…そうなれた時に、もう一度雫ちゃんに告白したいと思ってる」


「えっ?」


「…なんてね。そんなバカなことは言えないけど、でも、今、ただ1つだけお願いがある」


「お願い…?」


切なげな表情を浮かべてうなづく慧君。


そんな慧君から、私は視線を外せなかった。


そうやって見つめ合ったまま数秒が過ぎ…


「ねえ、どうするの…?」


たまらずそう言った瞬間、慧君はいきなりギュッと私を抱きしめた。


体が強く締め付けられる。


慧君…


そこからしばらくの間、2人の時間が止まった。


普段の優しい慧君とは違って、この行動に、男の強さやたくましさを感じた。


熱く激しい情が私の心にダイレクトに伝わってくる。


改めて慧君の想いに触れ、どうしようもなく胸が熱くなった。