東英大のキャンパス。


6月の湿気を少しうっとおしく感じる。


僕は、光平と学内の図書館で勉強していた。


真剣に頑張らないと、本当にマズイ。


そう感じていた。


こっちの心の状態なんて…お構いなしだ。


本棚の前。


探してる本が見当たらないな…


誰かに借りられてる?


「希良君~はい、これ」


「亜美」


「探してたのこれでしょ?」


確かに僕が探してた本だ。


「あ、ああ。ありがとう」


「ねえ、今、ちょっといい?」


「え…光平と勉強中だから」


「大丈夫。光平には言ってきたから。希良君と話があるからって」


「何?」


正直、今は女子とは話したくなかった。


勉強に集中したかったのに…


「行こっ」


勝手に僕の手を掴んで歩き出す。


「ちょっ、何だよ…」


「いいから、こっち来て」