もちろんグラタンは何回も作ってるけど、人のためとなるとちゃんとしないとって思う。


特に祐誠さんは、きっと普段から美味しいものを食べ慣れてるだろうし、何でもいいわけないもんね。


ここで一緒に過ごして、そろそろ1週間が経つけど、祐誠さんは私を気遣って家事も手伝ってくれるし、料理もちゃんとほめてくれる。


緊張もするし、祐誠さんがいる日常はやっぱり不思議だけど…


でも、何とか自分らしくいられてるって思う。


「ただいま」


祐誠さんを迎えるためにドアまで急いだ。


「おかえりなさい」


嘘みたいに美しい顔が私の目に飛び込んでくる。


「美味しそうな匂いがする」


「今日はグラタンです。祐誠さん、好きって言ってたから…」


「嬉しい。早く食べよう」


スーツを預かり、祐誠さんは洗面台へ。