もしこの子を好きになって付き合って、雫ちゃんを忘れられたならどんなに楽だろう。


でも、やっぱり俺には…彼女を忘れるなんて絶対に無理なんだ。


「ごめん、俺、もう帰るね。果穂ちゃんは可愛いんだから、もっといろんなところに目を向けてごらん。きっと、俺なんかより良い男に巡り会えるから。申し訳ないけど…俺を追いかける時間が無駄になるだけだよ」


「私、諦めません! 絶対に慧さんを振り向かせてみせます! ちゃんと私を見て下さい。雫さんは他の人のとこに行っちゃったんですから、慧さんこそ、雫さんじゃなくて私に目を向けて下さい。私…慧さんのためならどんなことでもできます」


果穂ちゃん…


これ以上、俺はこの子に何を言えばいいのかわからなかった。


結局、明るいところまで送って、果穂ちゃんは1人帰っていった。