「おはよう」


「慧君、おはよう。いつも配達ありがとう」


「ここに置いてくね」


小麦粉を定位置に置いてから、慧君は意味ありげな表情で私を見た。


「どうか…した?」


「いや、あのさ。近々、一緒にご飯行けたらって…」


「あっ、そうだよね。イベント終わったらって言ってたもんね」


「うん」


「ねえ、慧君。ごめん…今夜電話できる?」


「大丈夫。じゃあ…夜に」


慧君は、不安げな顔をして出ていった。


「大丈夫? 雫ちゃん」


「あんこさん…」


「ごめんね、聞こえちゃったから。慧君の気持ち、痛いほどわかるからつらいけど、でも…」


「今夜、言います。祐誠さんとのこと…」


「そっか…うん。気持ち、しっかり持ってね。慧君ならわかってくれる。何よりも雫ちゃんの幸せを1番に考えてる人だから」


あんこさんの励まし…すごく有難かった。