あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

「カードで」


「は、はい」


かなりぎこちないやり取りの後、バイトの果穂ちゃんが他の接客を終えてこちらにやってきた。


「あ、もうお帰りですか~?」


う、嘘?!


こんなにフランクに声かけれるなんて、すごい。


直江 果穂(なおえ かほ)ちゃん。


21歳、大学生。


さすが…


若いし、可愛い子は違う。


「ああ」


「また来て下さいね。お待ちしてま~す」


愛嬌たっぷりに手を振る果穂ちゃん。


髪色はブラウンで、ストレートのボブスタイル。


若々しくキラキラした笑顔が何とも可愛い。


その横で『あ、ありがとうございました』と全く愛想のない挨拶をしてる私。


いったいどう思われただろう?


自動ドアを出ていく後ろ姿を見送りながら、私は『はぁ…』と小さなため息をついた。


「雫さん。あの人って本当にイケメンですよね。でも、みんな名前も知らないんですよ」


「う、うん。あんこさんも言ってた」


その時『すみません!』と男性が駆け込んできた。