祐誠さんのマンションの部屋の前。


とうとう来た。


インターフォンを押して、数秒待つ。


「いらっしゃい」


祐誠さん…だ。


何ヶ月も何年も、会ってないわけじゃないのに…


『やっと会えた…』って思った。


何だろうこの気持ち?


「お、お邪魔します」


嫌だ…


またロボットみたいにガチガチになってる。


リラックスしなきゃ。


久しぶりに部屋の中に入ると、祐誠さんは笑顔で私にソファに座るように言ってくれた。


クロワッサンを渡すと、それを取り出して、


「一緒に食べよう」


って、お皿にのせて出してくれた。


ロイヤルミルクティーもいれてくれて…


祐誠さんは、すごく美味しそうに食べてくれた。


「いいね。こんなに美味しいクロワッサンは、ニューヨークにはなかった」


「ニューヨークでもパンを?」


「朝食だったり、ブランチで頼んだりしてた。でも…これを超えるのは無かった。このクロワッサンが美味しいのは、きっと雫の心がこもってるからだな」