あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

目の前に立ち、伝票を差し出す。


うわ…


めちゃくちゃ綺麗な手をしてる。


細くて長くて…


絶対にこの手は荒々しいお仕事をしてる人の手じゃない。


やっぱり…モデルさん?


お会計するだけなのになぜか恥ずかしくなる。


顔、見れないよ…


180cmはあるだろうこの人の顔を見るには、もっと私が顔をあげないとダメなんだけど…


でも、真正面しか見れない。


そう、高そうなネクタイしか。


「1380円になります」


声がかすれて、しかも、いつもより小さな声になってしまった。


これ、完全に意識してるって思われてない?


普段はもっと自然に出来るのに、あんこさんのせいだ。


私、別にこの人を好きだとか言ってないし、自分でも、誰に憧れてるとか誰が好きだとか、そういうの…全然わからないんだから。