あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

話しかけても無視されるか迷惑がられるに決まってる。


だったら最初から何もしない方がマシだよね。


ほんと、こんなだからいつまで経っても全然恋愛出来ないんだよね、私は。


頑張らないとって気持ちはあるのに、前に進めない。


情けないよ。


あんこさんが変なこと言うから意識しちゃうじゃない。


本当にもう…


あ…スーツの人、確かにいる。


だいたいランチが一段落した2時~3時の間に来て、30分くらいで帰る。


1番奥の、いつもの席が空いてればそこに座る。


その席からは少し遠いけど、レジが見えて、


『頼むからこっちを見ないで』


なんて、そんなことを願ってる自分がいた。


「あ…」


思わず小さな声が出た。


スーツの人が立ち上がってこっちに向かってくる。


それは、食べた料金を払うだけの当たり前の行動。


なのに『来ないでー』と、また願う。


「お願いします」