あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

慧君まで一緒に動いてくれて、すごく心強かった。


朝からあんこさんは1度パンを運んできて『杏』のスペースに立つ店員に、パンの並べ方などを指示していた。


私にも声をかけてくれ、急いでまた戻っていった。


みんなに感謝してるあんこさんの気持ちが、私にも他のみんなにもストレートに伝わって『杏』のチームの思いはひとつになった。


いよいよ開場の時間。


アナウンスと同時にお客様が入場してきた。


「始まる…」


ドキドキと共に『杏』のブースにもいきなり行列ができた。


ネットなどでの前宣伝のおかげか、あんパンを中心にパンが飛ぶように売れていく。


いつも接客してるけど、緊張感は全く違う。


流れ込むように次から次へと止めどなく来てくれるお客様。


私達は丁寧に、かつ、機敏な動きで対応しながらパンを販売した。


桜の花の塩漬けを飾った『杏』の名物のあんパンに、いちごパウダーを練りこんだ甘酸っぱい風味を楽しめるパンや抹茶の爽やかな香りを楽しむ蒸しパンなどが人気だった。