「雫に言われたら、まるで奥さんに注意されてるみたいだな。守らないと叱られるから…気をつけるよ」


そう言って笑う祐誠さん。


『奥さん』なんて、そんなワードを出されたらキュンとしてしまう。


「おやすみ…雫」


頭の中の『奥さん』という言葉の処理ができないまま、祐誠さんとの時間が終わろうとしていた。


「あ…は、はい。おやすみ…なさい、祐誠さん」


しどろもどろな『おやすみ』の挨拶をして、私は電話を切った。


どうして?


心臓の鼓動がなかなか止まらない。


改めて布団にもぐっても、しばらく寝付くことができずにいた。


枕に顔を埋めて思った。


3人からの電話…


祐誠さんも、慧君も、希良君も、本当に優しくて。


確かに、祐誠さんからは告白されたわけじゃない。


私をどう思ってるのか、本当の気持ちはわからない。


でも、こんなにも私を大切に扱ってくれて、その言葉や行動に幸せな気持ちになった。