「なんなのよ、そんなの、ただフラフラしてるだけじゃない」


そうだよ、好きか嫌いか、自分の気持ちにはっきり答え出せばいいだけだよ。


「今、雫さんは必死で僕や東堂さんのために答えを探してくれてるんです。本当なら急ぐ必要なんてないのに、周りが答えを求めようとするから」


もう…私、頭がぐちゃぐちゃ。


「果穂さんは僕と一緒です。好きな人に振り向いてもらえないけど、大好きだから絶対に諦められない」


希良君…


「僕は…今は待ちます。たまに『杏』で雫さんに会えて、その笑顔を見られたらそれでいいです。雫さんはパン教室のことで忙しいし、見守っていたいと思ってます」


そんな…


「私は…待てない。慧さんが好き過ぎて…もう、どうにかなっちゃいそうだよ」


「わかりますよ。僕だって本当は…」


希良君は、それ以上言わなかった。


可愛い顔がどんどん切なげな表情になってく。


みんなを苦しめる雫さんのこと、やっぱり私は大嫌い。


雫さんより…私の方が絶対可愛い。


だから、いつか必ず慧さんは、あの人じゃなくて私を選んでくれる。


そう信じてるから…


だから絶対に、慧さんのことは諦めない。


私は希良君と別れて、うるさい友達が待つ、行きたくもないカフェへと向かった。