とても、有り難かった。


事業の大小はあっても、あくまで動く金額の差があるだけで、俺にとっては全て大切な仕事だ。


どれも失敗はできない。


少しでも手を抜くと、何もかも一気に崩れてしまうような気がするからだ。


どんなことがあっても、祖父、父が築いてきた信頼を俺が壊すわけにはいかなかった。


一人っ子の自分にはこの道しかないと腹をくくったその時から…


俺は本当の自分を…封印すると誓った。


『弱さ』を誰にも見せなくなった。


泣き言を言える相手など、この世に1人も…存在しなかった。


もちろん家族は優しく、いつだって俺の味方で、それは今も変わらない。


感謝を忘れたことなど1度も無い。


でも、それでも…


家族にさえ甘えてはいけないと、ずっと思って生きてきた。


最初の頃はどうしようもない孤独感にさいなまれ、プレッシャーに押しつぶされそうな時もあった。