あんこさん…


「もしかして知ってたんですか? 慧さんが雫さんのことを好きだってこと。知ってて黙ってたんですか?」


果穂ちゃんは、あんこさんにまで怖い顔をした。


「知ってたよ。もうずっと前からね」


「そんな…あんこさんもひどい!」


「私を責めるのは全然構わないよ。慧君はああいう子だから、自分の気持ちを出すのが下手だけど、私にはわかったの。この子は雫ちゃんのこと本当に好きなんだなって。いつだったか、慧君も私に話してくれた。とにかく…慧君は真剣だから、果穂ちゃんにはつらいことかも知れないけど、どうしようもないよ。だから、雫ちゃんを責めるのは絶対にやめな」


あんこさん…


「でも…私…慧さんのこと…どうしようもないくらい大好きなんです」


果穂ちゃんは、泣いた。


我慢できずにその場に泣き崩れる果穂ちゃんを、あんこさんが抱きかかえた。


それを目の前で見てるのは、本当に苦しかった。