不思議…


いつもいつも頑張って大きな何かと戦ってるこの人のこと、私は、すごく抱きしめてあげたくなった。


祐誠さんは、まだ私を離さない。


2人だけの静かな空間に、ほんの少しだけ…あなたが息をする音が漏れる。


私は、ゆっくりと祐誠さんの肩の辺りに腕を回した。


洋服同士がすれる音まで鮮明に耳に届く。


「雫…すまない」


私なんかに、すまないなんて…


そんなこと…言わないで。


「私、祐誠さんのお役に立てるかわからないですけど、でも…そのイベント頑張ってみます。だから、謝らないで下さい」


祐誠さんは、ゆっくりとうなづいた。


ただお互い抱きしめ合うだけ…それ以上の言葉も行動も、ここには存在しない。


それでも、あなたの優しいぬくもりで、私の心がまた少し…溶かされていくのがわかった。