1人で勝手に変なことを想像して動揺した。


すぐに冷静を装って、私は祐誠さんといろいろ話をした。


パンのことも、興味がなくてもちゃんと耳を傾けて聞いてくれる。


すごく楽しい。


この時間…好き。


「雫は本当にパンが好きなんだな。今度、うちの百貨店でゴールデンウィークにパンのイベントをする。その時、一緒にスタッフとして頑張ってみないか?」


「えっ! 私がですか?」


「ああ、そうだ。雫には、子ども達のパン教室を担当してもらいたい。簡単で美味しいパンの作り方を子ども達に教えてほしい。あと、パンのブースに出店してもらえるように、店長さんにお願いしたい」


嘘みたいな話だった。


祐誠さんのお願いは、いつも突然だし、ちょっと強引。


「あ、有り難いお話ですけど…私、パン教室なんて自信ないです。子どもは好きですけど、教えるとかは…」


希良君が理科の先生になって、子ども達に実験を見せたいって言ってたことが頭をよぎった。


すごく素敵だと思うし、希良君にならできると思う。


だけど、私には…