俺は落札が決まった後、素早く保護されボスの家に来ていた。
「ちょっと家の中騒がしいけど我慢してくれるかな。」
そう苦笑してボスは言った。俺は頷き、篤樹の手をぎゅっと握った。他の人と違うからって警戒していないわけじゃない。ドアが重々しく開かれた。洋風で優雅な内装とは場違いな怒声が響き渡った。
「It's my toy‼︎return it‼︎」
そこには一人の女の子が男の子に怒鳴っていた。日本語じゃなかったから何を言っているか分からなかったけど怒ってることは表情から読み取れた。男の子は相変わらず泣きじゃくっている。ボスは困ったように眉毛を八の字にし女の子に歩み寄る。
「Forgive Allen , Mina. Allen doesn't cry so much.」
ボスは流暢な英語で男の子の背中を撫でて慰め、女の子を宥める。女の子は半ば納得できない感じで渋々頷き、男の子は涙を我慢していた。
ボスは俺たちの手を取り彼らの前へ連れてかれた。
「They are new companions living here from today.伍樹、篤樹、自己紹介できるかな。」
俺と篤樹は頷き、一歩前へ出た。みんながこっちを注目して少し恥ずかしかったけど声を振り絞った。
「志田伍樹です。10歳です。よろしくお願いします。」
「志田篤樹です。10歳です。よろしくお願いしましゅ」
篤樹が噛んで顔を赤くした。ボスはそんな俺たちを見て微笑ましそうだった。一方のみんなは言葉がわからないのかボスの方を見つめていた。その視線に気づいたのかボスがみんなに話す。
さっきまで怒鳴っていた女の子が目を輝かせてこっちにくる。
「You guys are twins! I am Mina・Arcus. Nice to meet you.(あなたたち双子なのね!私はミナ・アーカス。よろしくね。)」
「I am Allen・Logat. Nice to meet you.(僕はアレン・ロガット。よろしくな。)」
「あなた日系人よね?私は李・翠乃(り・すいの)。純中国人だけど生まれも育ちも日本よ。よろしく。」
翠乃以外聞き取れなかったからボスに頼った。すると丁寧にそのまんまで言ってくれた。