正直に告げて、それでも大丈夫だと微笑んで見せると、抱き寄せられた形のまま頭のてっぺんに軽いキスが落ちてくる。
リサはそれだけで勇気が貰える思いだった。
「何か出産前にしたいことや欲しいものはないか?」
「え?」
「いや、妊娠や出産がどれだけ大変かわかってはいても、男は代わってやることも出来ず役立たずだからな。もちろん出来ることは全力で支えるつもりだが…」
リサの不安が少しでも和らぐようにと、ジルベールなりに考えを巡らせているらしい。
『したいこと』や『欲しいもの』と言われ、リサは考えてみた。
フィリップを産んだシルヴィアにはラヴァンディエの王太子妃としてジルベールとの連名で公式のお祝いを贈ったが、自分でも何か贈り物をしたいと思っていた。
きっと子供を産んでも尚美しいであろう彼女に何を贈ろうか。
そんなことを考えていると、ジルベールはリサの思考を読んだように呆れた顔で笑った。
「リサ。君が欲しいものだよ」
相変わらず、どんな小さなことでもジルベールはリサの意見を聞きたがる。
その気遣いに応えるように、リサも少しずつ自分の思いを口にするようになってきた。



