おとぎ話の裏側~身代わりメイドと王子の恋~


「ジル…王子様みたい」

いつかと同じセリフを言ってみれば、ジルベールも気が付いたらしく、クスッと笑いながら「正真正銘ラヴァンディエの王子だが」と聞き覚えのある答えが返ってきた。

「ふふ、あの時は本当にビックリしました」
「お互い様だな。まさか偽物だと思われていたとは」
「ごめんなさい。偽物の姫は私の方だったのに」

肩を竦めて謝るリサを片膝を付いた逞しい脚に座らせる。
密着した姿勢が恥ずかしいのか、体重を預けるのが申し訳ないのか、リサは腰を浮かそうとするが、ジルベールに回された腕がそれを許さない。

「偽物なんかじゃない」
「え?」
「この城では君は侍女かも知れない。でも俺にとって、リサはたったひとりのお姫様だ」

思いもよらない台詞に目を見開く。

(こんなの、本当に絵本のハッピーエンドみたい…!)

ジルベールの膝に座っているせいで、彼から上目遣いに見つめられる。その視線に熱が籠もっているのがわかり、一気に身体が熱くなる。