言ってしまった。
言葉にすると、途端に恥ずかしさだけでなく、事の重大さに身体が震える。
ジルベールの優しさに甘えて理性が溶け、言ってはいけないと自分を律していた鎖が簡単にちぎれてしまった。
しかしそれを待ち望んでいたジルベールは、至近距離でとろけるような笑顔を見せる。
「あぁ、俺もだ。リサ、愛している。俺と家族になってほしい」
自分の気持ちを正直に打ち明け、率直に伝えたら、こんなにも嬉しい返事が返ってくるなんて。
先程から潤んだままの瞳から、ついに涙がぽたりと落ちた。
「でももし、王様が私なんかではダメだと言ったら…。それに、いずれ王様になるのなら、その、側室とか…」
「ありえない。父と母を見て王族とはいえ結婚は愛する者同士ですべきだと思っていたが、リサに出会ってその思いはさらに強固になった。反対なんかさせない」
それに、とジルベールは言葉を続ける。
「ラヴァンディエ王国には側室制度はない」
「あ…そう、なんですね」
少しだけホッとした様子のリサを見て、公妾といって公式の制度ではないが王が愛人を囲うことが珍しくないというのは、彼女は知らなくて良いことなので黙っておくことにした。自分にはそんなもの必要ない。



