「公爵と父を説得し、必ず君を俺の花嫁にする」
「ジル…」
「俺にはリサだけだ。リサ以外の女性はいらない」
1度これと決めたら譲らない。ラヴァンディエ家の男達の気性はしっかりとジルベールにも受け継がれている。
その血脈を持って、彼は父を説得し陥落させることとなる。
腕の力を緩めると、瞳にうっすら涙の膜を張ったリサと視線が絡む。熱でもあるかのように潤むその瞳に、ジルベールは吸い寄せられるように唇で触れる。
恥ずかしさに俯きそうになるリサの細い首を両手で支え、顔を上げさせる。
手に伝わる体温がみるみる熱くなっていくのが分かり、脈打つ喉元を親指で柔らかく撫でれば「…んっ」と小さく吐息を零した。
それを合図にジルベールはリサの唇をゆっくりと奪う。柔らかく合わせるだけの口付けを、角度を変えて何度も繰り返す。
「リサ」
「ジル、私…」
「うん」
頬に、目尻に、鼻先にキスを落としながらリサの言葉を待つ。
少しくすぐったそうに笑ったリサは、真ん丸の黒目がちな瞳を真っ直ぐにジルベールに向けて、心の中の想いを打ち明けた。
「出来ることなら、あなたの、家族になりたい」



