「なら、私が残ります」

誰が残るか話し合いをしようとした刹那、エリカが手を挙げる。

「リオンさん、カズさんは強いから戦力になるし、先生がいないと本の中に出入りできない。メルキュールさんは誰かが傷付いた時に怪我を治してもらわないといけないので、私が残ります」

エリカはそう言い、微笑む。確かにエリカが傷付く姿を見るは嫌だ。僕は「わかった」と微笑み、本の書き出しを口にする。

「雪の降り頻る街に、天使が舞い降りた」

白い光に僕らは包まれる。その時、かすかに誰かの声が聞こえた.それはとても小さくて消えてしまいそうな声だったけど、僕の耳にはっきりと聞こえた。

「助けて」