◇・◇・◇ この恋は濃淡が曖昧な、未成熟なものだった。 柵を隔てて見つめ合い、話をする。 触れ合えるのは指先だけ。 それと、最後に互いの気持ちを確かめ合うような稚拙なキス。 ただ、それだけだった。 でも、それだけで何よりも幸せな日々だった。 父に虐げられ、父の指示に従うことでしか生きていけなかった小さな世界で見つけた、ロゼリアだけの楽しみ、悦び。 何ものにも代えがたいひとときだった。