「本によると、子猫ちゃんとか呼ぶといいみたいだけど……」
「ちょっと待って、情報が古すぎるから。良太。却下」
「ええ……? お母様は乙女の理想はこの漫画っていつもいってたけれど」
「お母様の意見は忘れて。今の女の子はそんなの興味ないから」
「そうなの? 由紀」
「うん。もう少しナチュラルな感じの方がいいっていうか、逆にそれじゃドン引きだよ」
「嘘」
「本当」

 目を丸くしている良太にうちは頭を抱える。今は昭和どころか、平成通り越して令和ですけど? いつの時代を生きているんだ、良太は……はあ。
 そう思いながら、うちはまず両手に手を差し出す。

「何? 由紀」
「まずはうちの手を握って10秒耐えよう」
「え?」
「女の子に触れることになれようか」
「……なるほど、確かにまずはそこからだ」

 ふむふむと頷く良太。本当に大丈夫だろうか。