「ここが第二被服室……本当に誰も居ない。少しほこりっぽいぐらいに使ってないんだね、由紀」
「まあね。ほぼ物置部屋だよ」
「誰も来なさそうで良かった……ほっ」
「部活とか入らないの? 良太は」
「由紀は?」
「帰宅部」
「オレも多分帰宅部かなぁ。放課後はお稽古があるから……」
「お稽古……」

(さすがはお坊ちゃまって感じがする)

何せナチュラルにお母様と口走る男の子だもんなぁ。普通じゃないよなぁ。うん。

 動き方もなんか上品だし、育ちはやっぱいいのだろう。
 すると、良太は何やら本を取り出した。……昭和の少女漫画だった。