月曜日にオフィス戻ると、メンバーの皆んなから、
口々に祝福をされる。

「おめでとうございます。」
「野崎さんの幸せを私にも分けて下さいね。」

「何があった？」
私がいない週末に何かあったのか？
それとも、劇場の下見かな？

「惚けても、無駄ですよ。私達、もう知ってますから。」
「だから何を？」

「竹内さんとのことです。」

「えっ。何で？」

「それはだって、竹内さんが倒れたって一報と共に、野崎さんは消えちゃうし、仕事の虫だったはずなのに劇場の下見にも来られなかったし。」

「そうだね。皆んなには迷惑掛けてごめんなさい。」

「迷惑だなんて思ってませんから。野崎さんの幸せのお手伝いができたなら、光栄です。」

「ありがとう。」

私はもう、認めるしかなかった。

「皆んな喜んでますよ。一人を除いては・・・。
その一人は、何と竹内さんのヘルプに来週から行くらしいですけど。」

「どういう意味？」

「それは藤田さんから聞いてください。私達も噂
レベルなので。」

私は早速、藤田さんを呼び止めて、週末のフォローのお礼と異動の真相を聞いた。

「劇場はスムーズに進んでいて、ほぼ完成に近づいてたよ。リニューアルが楽しみになって、皆んなもテンションが上がってたよ。」

「ありがとうございます。」

「沢村の異動は、今回竹内が倒れて、流石に竹内の負担が大き過ぎるって会社でも問題になったんだよ。それで、竹内のフォローに沢村が付くことになったって訳。」

「そうですか、でも、うちのプロジェクトとしては、ちょっと痛いですね。」

「そうなんだよね、その分は、僕と設計部全体でフォローするってことにはなってるけど。」

「竹内の指名だって言ったら、沢村も喜んでたし、いい経験にもなるから、頑張ってもらうしかないよな。」

「まぁ、竹内君にフォローが付くのは、ちょっと安心ですけど。」

「そうか、野崎さんもいい週末を過ごしたんだな。良かったよ。」

「色々、藤田さんのおかげです。ありがとうございます。」

「じゃあ、ここからリニューアルオープンまで頑張ろうね。」

「はい！」