「それでは、検討の余地もないと?」

「はい、ここでお答えを出したいと仰ったのは内田様、あなただと聞いておりますが。
私は、これ以上の値下げはするつもりはありません。たとえ、弊社のこの二人が望んだとしてもです。」

「では、私共が他の業者に変更すると言ってもですか?」

「もし、そうされるならどうぞお構いなく。」

山田部長は落ち着き払っている。

「但し、こちらとしましては、既に契約書も交わしておりますし、今までに掛かった費用については、御社にご請求させて頂きますよ。」

「そんな契約をしているのか。」

内田部長が、契約書を確認して、悔しそうな顔をしている。

そこへ山田部長がトドメを刺した。

「それから、もちろん、このデザインを盗用されるようなことがあれば、訴える場合もございますので、ご了承しておいて下さいね。」

勝敗は決まった。

「仕方ないですね、山田さんがそこまで言うなら、今回は御社のご提案を受け入れましょう。
今後のことは、弊社の課長と話を進めて下さい。
私は、忙しいので失礼します。」

それだけ言うと、内田部長は足早に会議室を出て
行った。

山田部長の圧勝だった。

私達は次のアポイントを調整すると、クライアントのオフィスを後にした。