私達はデスクに戻ると、デザイン料と事務経費について話し合った。

ここはどの案件でも、全体の金額調整に使うことが多いので、一応、会社としての定価は設定してあるけれど、定価通りになることはほぼない。

今回の提案でも、最初から低めの提案をしていた。

だけど、今回は、真剣に自分達の仕事の価値について考える機会になった。

「いくらが妥当なんだろうね。事務経費は、最初を2倍ぐらいにしておいて、最終的に1.5倍ぐらいに持っていくとかかな。無責任な言い方だけど、ここは営業の野崎さんに任せるよ。」

藤田さんは設計部の人なので、この金額を決めるのは、確かに私の役割だ。

「部長の言う通り、私達は通常の倍近くの仕事をしたんですから、それに見合った対価は支払ってもらうべきだと思います。それを月曜日のプレゼンで下げられるのは嫌です。」

「強気だね。でも、確かに野崎さんの言う通りだね。」

「いえ、部長が言ったことを繰り返してるだけですから。」

最終的に、私達はデザイン料を30%、事務経費を50%増額することに決めた。

資料の金額も修正して、月曜日のプレゼンに挑む。