家に帰ってすぐ、今度は優香に電話をした。
白井さんが本当の事を話さないなら、優香に聞くしかない。

「もしもし、俺だけど。今、大丈夫？」

「竹内君？うん、大丈夫だよ。今、帰って来たところだから。」

時計の針は、11時を過ぎていた。

「相変わらず、遅いな。疲れてないか？」

「ありがとう。大丈夫だよ。それに竹内君も忙しいでしょ。私は、竹内君のお陰で、今回のことも何とかなりそうだし、本当に感謝してます。
それでどうしたの？何か用事？」

「用事がなきゃ電話しちゃ駄目なのかよ。」

「だって、私と話す時間があったら、休んだ方がいいんじゃないかと思って。」

何か、すっかり前の同期としての関係に戻ってしまったようだ。
いや、今はそれ以上の距離すら感じる。
やっぱり何かあったしか思えない。

俺は、あの夜の優香を今更忘れるなんて出来ないから。