私は、朝一にプロジェクトメンバーを集めて、いくつかのプランを提案した。

その中で、私が一番気に入っていたものが、満場一致で採用となった。

「野崎さん、よく頑張ったね。何なら、最初のプランより良くなってるよ。あのクライアントにはもったいないぐらい。」

ミーティングが終わると、藤田さんが話し掛けて来てくれた。

「ありがとうございます。」

「あっ、それから資材の包括注文の件、僕から竹内に頼んでしまったよ。時間もなかったから。
勝手なことして悪いなとは思ったんだけど。」

「いえ、そんな。昨日、竹内君からもその件は聞きましたから。」

「良かった、竹内と話をしたんだ。あいつ、自分の仕事もそっちのけで、野崎さんのことを心配してたからな。」

「それはないと思いますけど、藤田さんが言ってくれた『頼れる強さ』も大事だなって。もちろん、藤田さんのような信頼できる人達が、周りにいてくれるからこそなんですけど。」

「僕の話もたまには役に立つんだな。ありがとう。でも、野崎さんが最初に頼りたかったのは、竹内だろ。そこも素直になったら。」

藤田さんは悪戯っぽく笑って、自分のデスクの方に戻って行った。