電話を切った後、私は人通りの少ないベンチに移動すると、ひとしきり泣いた。

泣いた後には、悔しさが力になる。

あんな奴に負けるもんか。
絶対に、あの狸親父の鼻を明かしてやるんだ。

そう決意すると、小走りで駅に向かった。

オフィスに着くと、心配そうに藤田さんが待っていてくれた。

「ご心配掛けてすみません。それに私の力不足で、こんな事になってしまって、申し訳ないです。」

「電話でも言ったけど、野崎さんのせいじゃないから。そんな話、言い掛かりもいいとこだよ。」

「はい、私もこのまま引き下がるなんて、絶対に嫌です。あの部長の鼻を明かしてやりたいです。」

「おう、さすが野崎さんだね。野崎さんはそうじゃなきゃね。」

私はやっぱり可愛い女にはなれないみたいだ。
でも今は、そうもなりたくない。

だって、竹内君とも約束したから。
仕事頑張るって。