だから、東京に帰った日、絶対に野崎を誘おうって決めていた。

二人で時間を共有できるだけで、俺は嬉しかった。

それなのに、あいつは酔った勢いだったのか、
俺に名前で呼んで欲しいなんて、可愛すぎるお願いをして来た。
 
俺が「優香」と初めて呼んだ時、彼女はとても嬉しそうに笑った。

それは反則だろ。
その瞬間、俺の心は全て持っていかれた。

このチャンスを逃してはならないと、俺は必死で「優香」と呼び続けた。

とどめに涙なんか見せられて、俺はもう冷静でなんかいられなかった。

酔った優香を家に送り届けた時、そのまま帰る選択肢もあったのに、俺は帰らなかった。

優香をベットに横たえて、スーツを脱がせた。
戦闘服を脱いだ優香の華奢な身体は、さらに魅力的だった。

それでも、酔った優香を抱かない理性はまだ残っていた。

ただ、そっと唇に触れた。

「優香、俺のことも『隼人」って呼んでみて。」

意識のないはずの優香の耳元で囁くと、優香はうっすらと唇を動かした。

「隼人。」

俺は、この時間がずっと続いて欲しいと願い、優香の隣に横たわると、そっと優香の肩を抱き寄せて眠った。

ドキドキと心臓は高鳴るのに、疲れた心が癒されていく。