お願い、名前を呼んで。

駅からはマンションまでは、私の足で10分ぐらいだ。

「優香、寂しい?」

「寂しい時もあるけど、後2ヶ月なら大丈夫。」

「そうだ、こっちに戻ったら少しの間は優香の家に居候させてもらっていい?」

「いいけど、何で?隼人のマンションは?」

「マンション、解約したんだ。当初の予定より長くなってたし。荷物は処分したら、実家に送ったりしたから。」

「そうなんだ。知らなかった。」

「それで、こっちに帰ってきた時は、少し広めの家を借りようと思ってる。優香と二人で暮らせそうな。」

「えっ。」

それは同棲するってことかな。
私達、そんな話してたっけ?

「優香、いや?」

「嫌じゃないよ。嬉しいよ。さっきだって、電車乗りながら、朝、一緒に出勤できたらいいのになぁって、思ってたし。でも、ビックリした。」

「もちろん、同棲する時は結婚前提だし、優香の
ご両親にも挨拶したいと思ってるから。」

隼人は真剣に私のことを考えてくれてるんだ。
嬉しくて泣きそうになる。

「まだ泣くなよ。俺が我慢できなくなるから。」

「うん。でも嬉しい。」

「俺達、今まであんまり会えなかったけど、前にメモに書いただろう。『会えない日も優香への気持ちは更新する』って。あれを書いた時から、俺はずっと考えてたから。」

「ありがとう。私も隼人への好きは、毎日更新されて行くよ。今日なんて、3段飛ばしぐらいに。」

「俺がこっちに戻ってきたら、ゆっくり考えような。焦ることでもないとは思うけど、優香と家族になりたいって思ってるから。」

「私も隼人と、家族になりたい。」

「じゃあ、俺たちの将来は決まりだな。でもいつか、ちゃんとプロポーズするから、もうちょっと待ってて。」

ここでちょうど、私のマンションの前に着いた。

「ここからは俺のわがままな時間だな。優香、覚悟しろよ。」

そう言うと、まだ部屋に入ってないのに、隼人は熱くて甘い蕩けるような口だけをした。

終わり