「つっきー、さっき後輩と話してただろ。告白か?結構可愛い顔だっただろ」
可愛い顔?誰のことを言ってるだ。と思ったが多分昼休みのことだろう。確かに男子にしては色白で目も大きく幼い顔立ちだった。身長も160前半だろう。可愛いと言われれば可愛いのかもしれない。
「誰々、どこの高校?」
「ちがちゃん、驚くなよ。ここだ。」
「なんだー、ここかー。って、ここ男子校だろ!?」
うるさい。ほんとうるさい。わざとらしくからかってくるこいつらは俺の友達で、友達じゃなければぶん殴ってたところだ。
「うるさいなー。告白なわけないだろ。男子が男子に告るとか普通にキモイわ。罰ゲームかなんかだろ。」
「ついに1年にもあの噂広まったのか」
「やめろ。気持ち悪い。」
あの噂というのは、俺が男好きという噂。当然、それは嘘だ。1年の頃、2年の先輩に告られ、俺はそれを断った。その腹いせに先輩は俺が男好きで告っただとか変な噂を流した。そのせいで俺を避けるやつもいれば影で悪口を言うやつもいた。幸い、俺が2年になった時、他校に彼女が出来てからはあの噂が嘘だとわかって貰えたみたいだ。
「そういえば昨日お前の彼女と会ったぞ。冬馬元気にしてるかって。」
「げ……茅ヶ崎、なんて答えた?」
「元気にしてるって答えたけど」
「あー、それダメなやつだわ。」
「え、智也、冬馬、俺なんかやばいことした、?」
そういい、俺と佐々木を交互に見る。身長が低い分、上目遣いで少し涙目になっているのがよくわかる。こういう時だけ都合のいい奴だな。と思いつつ、茅ヶ崎の頭を撫でる。
「あー、大丈夫だから。お前はホントのことを言ったまでだろ?心配しなくても大丈夫だって。」
「冬馬ー!」
そう言い、茅ヶ崎は俺に抱きついてくる。俺を、保護者のような目で見てくる佐々木。俺らは、こうやって馬鹿やっとけばいいんだ。恋愛だとか、恋人だとか、そんなものは関係ない。ただ、楽しく過ごしていたいだけなんだ。
また、あの時みたいな思いをしないためにも……。