「……でも、変なことをするのは無しだからね」

「じゃあ、こういう条件はどう？　まず〜」

　と、言いながら説明を始める。

　長かったけど、簡単にまとめるとこういうことらしい。

　まず、賭け内容は、私が成瀬を好きになるかどうか。互いの勝利条件として、私の場合は1ヶ月成瀬に絆されないこと。

　一方、成瀬の勝利条件は、私を惚れさせて好きにさせること。

　とはいえ、そうだと成瀬が何でもかんでもしてきそうで(※自主規制)怖いから、一つ条件を設けることに。それは、私が了承した場合にのみ、成瀬は一線を越えない限り何をしてもいい、ということ。

　ちなみに、勝利した方が、相手に一つ願いを叶えさせることができる。何でも。

「じゃあ、明日から1ヶ月間スタートね」

「いいよ。絶対にっ！　成瀬のことは好きにならないから」

　それでも、何でも、であっても了承したのには理由があった。

　私は、成瀬を好きにならない。絶対に。そう断言できるからだ。

　というのも、私は恋は嫌いだ。恋人なんていうものは、「付き合ってください」のたった一言で成立し、また逆に「別れよう」で破綻する。

　所詮、それだけの関係に、私は夢を持たないっ！