逃げるように走り、私は図書室を抜けて校舎裏に避難することにした。

「……はぁ、はぁ」

 何、さっきの!?

 ……全くついていけない。短時間に押し寄せてくる膨大な情報量に、困惑していた。

「……で、分かってもらえた?」

 男子の体力には勝てないようで、いつの間にか駆け寄ってくる成瀬。

「まぁ、……うん。け、けれど、言っておくけど私は成瀬のこと別に好きでもなんでもないし、関係はそのまま、だからね!」

「……えぇ〜」


 えぇーって、なに、えぇーって。子供かい。


「いつか好きになる、予定とかは?」

「ないっ! 一生ありえないっ!」

「なんでそう言い切れるの?」

「絶対にないから……それなら、賭けてもいいよ?」

「ほんと?」

「もちろん。もし成瀬のことをす……すき、になってしまったら、何でも成瀬の願いを叶えてあげる」

「……言ったね」


 ニヤリ、と笑う成瀬。

 ……あれ、私。勢いに任せて、変なことを言わなかった?