本の整理を始めて数分が経った。図書室には相変わらず人は来ない。静かだ。
外からは、運動部だろうか、掛け声のようなものが聞こえてくる。もう夏に差し掛かってきているというのに……暑そう。
……コトッ、コトッ
なんて気を紛らわしてみたはいいけど、やっぱり気まずい。
「……相変わらず、よくモテるんだね」
沈黙がどうしても気まずくなって、気付いたら成瀬にそんな風に話しかけていた。
「……ん、そう? 別に、モテたいわけじゃないんだけどなぁ」
「ふーん……。そういえば、友達が気になってたよ。成瀬、彼女とかいないのかなって」
「彼女? いないよ? ……けど、気になっているっていうか……好きな人はいるけど」
……同じ図書委員でよく話すことはあるけど、初めて聞いた。成瀬、好きな人がいたんだ。そんな素振りを見せてなかったけど。
ちょっと、意外。それにしても、どんな人なんだろう?
「……いるんだ。どんな人?」
あくまで平静を保って。コトンっ、コトンっ、と本を棚に並べる音だけが、小さく響いている。
「春華」
「…………は?」
長い沈黙の末、私から放たれたのはたったその一語だけだった。いくら私でも、平静を保てなかった。
外からは、運動部だろうか、掛け声のようなものが聞こえてくる。もう夏に差し掛かってきているというのに……暑そう。
……コトッ、コトッ
なんて気を紛らわしてみたはいいけど、やっぱり気まずい。
「……相変わらず、よくモテるんだね」
沈黙がどうしても気まずくなって、気付いたら成瀬にそんな風に話しかけていた。
「……ん、そう? 別に、モテたいわけじゃないんだけどなぁ」
「ふーん……。そういえば、友達が気になってたよ。成瀬、彼女とかいないのかなって」
「彼女? いないよ? ……けど、気になっているっていうか……好きな人はいるけど」
……同じ図書委員でよく話すことはあるけど、初めて聞いた。成瀬、好きな人がいたんだ。そんな素振りを見せてなかったけど。
ちょっと、意外。それにしても、どんな人なんだろう?
「……いるんだ。どんな人?」
あくまで平静を保って。コトンっ、コトンっ、と本を棚に並べる音だけが、小さく響いている。
「春華」
「…………は?」
長い沈黙の末、私から放たれたのはたったその一語だけだった。いくら私でも、平静を保てなかった。
