その後、5時限目、6時限目、掃除と大した出来事もなく過ぎ、放課後。


「…………」


 私は、図書室のカウンターで図書室にある本から適当に引っ張り出して、恋愛小説を読み漁っていた。

 ……相変わらず、図書委員は楽でいい。

 図書室に来る生徒なんて、ほとんどいない。たまに2、3人来るかどうか。テスト週間は増えるけど、目的はあくまで勉強。

 カウンターでじっとしてればいいなんて、だいぶ楽だった。

 今日なんて、一人もいない。図書室はいつもよりも、一層シーンと静寂に包まれていた。


「……借りたいんだけど」

「……ひぇ!? あっ、すいま…………」


 全然気付かなくて、謝りながら声のする方を見ると、ニターっと意地悪が成功してはしゃいでいる、まるで子供のような笑みを浮かべた成瀬。

 ……はぁ、またか。


「……あの、やめてくれるかな」

「仕事中に本を読むのも、どうかと思うけどな」


 なんて私に言いかけながら、私のいるカウンターへと入ってくる。

 というのに、私は文句を言えない。……成瀬朝陽も、同じく図書委員だからだ。


「……じゃあ、そろそろ本棚整理する?」

「あっ、うん。早めに終わらせよ」


 と、成瀬。

 成瀬との決め事で、成瀬は私が一人で仕事を終わらせるのを禁止している。どうやら、私に仕事を押し付けたくないらしい。


「……よいしょっと」

「おばあちゃん?笑」

「……うるさい」


 いちいち突っ込むなっての。私はそう言葉を吐きながら、読んでたところに栞を挟み、本棚の方へ向かった。