1人で頑張らなくてもいいんだよ、俺にも頼ってよ



もう〜、不意打ち、ずるい……

「熱いよ、お姉ちゃん」

「あっ、ごめん」

ドライヤーを止めてブラシをかける

「はい、出来た」

リビングに行くとまだ海斗はバスタオルを巻いたままでいた

汗がひかねぇとエアコンの前に仁王立ちにしている

「子供と入るのって楽しいな」

「そう?」

私はたまにはゆっくり1人で入りたい……

心の中でそう思った




「うまっ!」

4人で夕食を食べる

「ソース大丈夫?うちは子供がいるからオーロラソースにいつもしちゃうんだけど」


「全然大丈夫、マヨネーズもケチャップも好き」

「お店の味には勝てないけど(笑)」

「母さんが夕食作らない時は金くれるんだよ
作っても簡単なもの……家庭料理はないかなー」

「でもその分お仕事を頑張ってるんでしょ?」

「まーね」

「寂しくない?」

「うん、何かそのぶん行事ごとは必ず来てくれるかな〜

親父も長期出張が多いからだと思うけど、参観日とかも来てくれてたし

サッカーの当番とか練習試合の車出しもしてくれたし

その分仕事をつめたりして、何もない時は夜も遅かったり」

「中学も車出しあるの?」

健くんが心配そうに訊ねる

「兄ちゃんの中学はあったけど、健の中学があるかどうかはわかんないな
学校によって違うよ…タクシー使うとこや自転車で行くところとかな」

「健くん大丈夫よ、お姉ちゃんがちゃんと説明するし、高校卒業したら車の免許もとる」

「うん」

「ご馳走様」

琴が1番に食べ終えた

「綺麗に食べるね、琴ちゃん」

「お姉ちゃんに怒られるから」

食器を下げる

「そっかー、怒られるのか(笑)」

やっぱり母親みたいだと海斗は思った