仕事中だから悪いと思ったがもう仕方ない

連絡がいってもかけつけることは出来ないのだから……

帰ったら琴ちゃんを児童クラブに迎えに行って

洗濯物を回して、今日の夕食は………

生徒はすでにバスに乗っていて先生と菜々美が乗り込んで発車となった



学校に着くと明日香から荷物を渡された

「私、部活があるからさ、送れないけど
海斗くんが送るって言ってたからここで待ってて」

「えっ?」

海斗くんが?

また迷惑かけちゃう……


走ってくる靴の音がした

「成田、自転車の鍵」

「帰れるよ、大丈夫」

菜々美は自転車置き場にびっこを引きながら歩いていく

海斗は後ろからついて行った

鞄を前カゴに入れて自転車を動かす

「その足で自転車こげんの?」

菜々美はペダルに足を置く

顔が痛そうに歪んだ

海斗は自転車のハンドルを片手で持ち、菜々美のウエストを持って後ろに乗せた

「キャッ」

「何で頼らないのさ」

「だって、頼ってばかりだし
海斗くんも疲れてるでしょ?」

「俺は全然疲れてないよ、それを判断するのは成田ではない」

「でも、私が大丈夫って判断してるんだから…そうでしょ?」

「………」



また私はおこらせちゃったのかな

「そうか……ごめん
言い方が悪かった」


言い方?



「一緒に帰ろう」


笑顔で誘ってくれた

「うん」

菜々美も素直に返事が出来た